提携ローンの類型
提携ローンには、関係当事者の法律関係に即して、3者型といわれる類型と4者型といわれる類型があります。
◇提携ローン3者型
提携ローンの3者型といわれる類型は、金融機関、提携先である販売業者、顧客の3者が当事者となる類型です。
金融機関と販売業者が提携して提供する、販売契約等のためのローンをいいます。
この類型では、金融機関と顧客間に金銭消費貸借契約が、販売業者と顧客間に販売契約が成立することが一般的です。
そして、金銭消費貸借契約が個別信用購入あっせんに該当するためには、取引全体からみて販売業者による販売契約と金融機関による金銭消費貸借契約との間に一定の関係(これを密接な牽連関係と言います)が必要であると解されています。
金融機関と顧客との間で目的の無いローンの金銭消費貸借契約が締結された場合には、借主は、借り受けた金銭をどのような目的にも利用することができますので、密接な牽連関係はなく、この要件をみたさないと考えられます。
反対に、金融機関と密接な提携関係にある販売業者および顧客間の販売契約の代金決済のために締結される金銭消費貸借契約の場合には、個別具体的な事情によっては密接な牽連関係が認められる場合もあると解されます。
両契約が同一機会において一体的に締結されている場合には、密接な牽連関係が認められる場合が多いと解されます。
≫販売契約および金銭消費貸借契約の勧誘行為を同一の主体が行っていないかという点
≫販売契約とローン契約との申込書の送付先が同一でないかという点
≫販売契約の勧誘に際し金銭消費貸借契約における優遇金利等のメリットを強調していないかという点
≫販売契約とローン契約とが別々の契約であり契約主体が異なっていることが明確であり、これらの契約が一体であるとの印象を消費者に与えていないかという点
これらは、重要な判断要素になります。
●下記の場合には、その他の事情次第では、密接な牽連関係が認められる場合が多いと考えられます。
≫いわゆる加盟店契約または同契約と実質的に同視できる提携契約その他の契約がある場合
≫販売業者等が継続的に金融機関に顧客をあっせん、仲介している場合
≫販売業者等が継続的に金融機関のローン書式を提供している場合
≫販売業者等と金融機関の間に密接な人的関係または資本関係がある場合
≫販売契約の目的物が金融機関に所有権留保されていること
*、提携先が保証を行ういわゆる個別方式のローン提携販売については、「個別信用購入あっせん」に該当します。
◇提携ローン4者型
提携ローンのうち4者型といわれる類型は、金融機関、提携先である販売業者、保証会社としてクレジット会社、顧客の4者が関係当事者になる類型です。
特定の販売業者が行う商品等の提供を条件として、その代金の全部または一部に相当する金額で顧客が金融機関から金銭を借り入れたものに係る債務をクレジット会社が保証して、その金額をその販売業者に交付し、その顧客からその金額を受領してその金融機関に返還するという仕組みになっています。
4者型の提携ローンにおいても、金融機関の貸付と販売契約との間に密接な牽連関係が認められれば、金融機関が行う提携ローンが個別信用購入あっせんに該当します。
この場合、クレジット会社が個別信用購入あっせん業者として割賦販売法の適用を受け、登録を受けなければなりません。
金融機関は、個別信用購入あっせん業者として登録する必要はないと解されます。
ただし、抗弁接続をはじめとする割賦販売法上の民事規定等との関係では、個別具体的な紛争を前提に、裁判所が個別判断を行うことになりますので、密接な牽連関係が認定され、金融機関に個別信用購入あっせんに関する規定が適用される可能性があります。
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